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ダウンの真相:アップデート

パタゴニア  /  2011年12月22日  /  読み終えるまで7分  /  フットプリント, デザイン
ダウンの真相:アップデート

2011年6月、私たちはパタゴニア製品のためのダウンの調達で直面した問題について本ブログでレポートしました。問題とはいっても、そのとき述べたように品質に問題があったのではありません。私たちはパタゴニアが製造するダウン製品に誇りをもっています。デザインはシンプルで美しく、素材は頑丈かつ軽量で、ダウンの品質(フィルパワーまたはインサレーション価)も卓越しています。そして環境問題への取り組みとしておこなっている売上の1%の寄付もかなりの額となります。

ダウンは2つの面において製造しにくい製品です。ひとつにはダウンを詰めて素材を縫製する従業員を守るための特別な配慮が必要だということです。ダウンを扱ったことのある人なら誰でも知っているように、それは羽よりもさらに軽く、重力に抗うからです。ダウン室は他のエリアから閉ざされていなければならず、従業員は繊維を吸ってしまわないよう、防護マスクをしなければなりません。パタゴニアはダウンを取り扱う従業員が間違いなく健全な環境で作業できるよう、製造工場と取り組んできました。

もうひとつはガチョウの扱いです。農場を突き止めるまでには縫製工場からダウン業者、ダウン加工工場と、サプライチェーンを深く掘り下げていかなければなりません。また一羽のガチョウが4つもの農場で飼育されることもあります。この複雑さはフットウェアウールのベースレイヤーセーターといった動物が関係する他の製品についても同じです。

生きたガチョウから羽を手で摘むライブ・プラッキングを実践することについては、動物愛護団体の多くが非難しています。これは鳥が換羽前に羽を手で摘む作業です。欧州食品安全機関(EFSA)は2010年、羽を手で摘むのでなく集めることは、それが適切に行われた場合にはガチョウに悪影響を及ぼさないという科学的見解を示しました。けれども私たちは、人道的なライブ・プラッキングのためのガイドラインがサプライチェーン全体を通して実践/監視されることについて、自信がもてませんでした。

2009年、このEFSAによる見解が発表される以前に、パタゴニアは不慮の悪影響を及ぼすリスクを回避するため、食用に屠殺されたガチョウから摘み取られたダウンだけを調達することに決めました。ガチョウの90~95%の経済価値は食肉にあり、ダウンの価値はその5~10%に過ぎません。グースダウンは食肉やレバー(フォアグラ)のために食用として飼育されたガチョウの副産物です。2009年、パタゴニアはサプライヤーであるアライド・フェザー&ダウン社に、パタゴニア製品用に発送されるダウンのすべてが食肉用のガチョウからのものであること、さらに生きたガチョウから摘まれた素材が含まれないようにすることを要求しました。

2010年12月、パタゴニアが生きたガチョウから手摘みされたダウンを使っていると、動物愛護団体〈Four Paws〉から糾弾されました。私たちはこれを論破しましたが、この論争の過程で私たちは〈Four Paws〉と対話をもちました。彼らは、フットプリント・クロニクルに使われた写真を見るかぎり、パタゴニアが使用しているダウンはグレイグースのもので、一般的にハンガリーで飼育されているグレイグースはフォアグラ用であるという点を指摘しました。フォアグラは、レバーを肥大させるためにガチョウを強制飼育するという、ヨーロッパのほとんどの国々とアメリカのいくつかの州(2012年からはカリフォルニア州も含む)で禁止されている、物議を醸す営みです。しかしながらこれは、フォアグラの発祥国であるフランスとパタゴニアがダウンを調達しているハンガリーでは禁止されていません。

以前パタゴニアが聞いていたのは、フォアグラ用に強制飼育されたガチョウからはオイリーな2級の質のダウンしか取れず、パタゴニアにはそれを提供していないということでした。けれどもそれは間違っていました。実際はフォアグラ用に強制飼育されていても、ダウンの質には影響なかったのです。そしてパタゴニアには以前から、食用だけではなく、レバーを肥大させるために強制飼育されたガチョウからのダウンが提供されていることがわかりました。

私たちはさらに調査をすることを決め、社会/環境責任ディレクター、素材開発ディレクター、そして戦略環境素材開発者を、アライド・フェザー&ダウン社の代表2人とともにハンガリーに送り込みました。自分たちの目で事実をたしかめたかったのです。一団はダウンとフェザーの処理施設、屠殺場、そしてメインのグース農場を2か所ずつ訪れました。この旅で訪れたパタゴニアのサプライヤーは透明性をもって対応してくれました。けれども私たちはすべてのサプライチェーンを訪れたのではないことも、ここでお伝えしなければなりません。

私たちが学んだことは受け入れがたいものでした。〈Four Paws〉は正しかったのです。私たちは食用だけでなく、フォアグラ用に飼育されたガチョウの副産物であるダウンも使っていたのです。

私たちが訪れたサプライチェーンでは、生きた鳥の羽を手摘みしているライブ・プラッキングの形跡は見られませんでした。訪れた屠殺場では、生きた鳥から羽が摘まれることがないよう、彼ら自身が鳥の購入を契約しているガチョウ農場を監査しています。

それ以来、私たちは現在の、そして代替の可能性のあるサプライチェーンについて学ぶため、現地への訪問を重ねてきました。私たちの目標は独立した第三機関からより正式な「一連の保管」査定を受けてそれに合格し、そしてそれぞれの段階がより明瞭につながるよう、追跡プログラムを更に強化することです。私たちはサプライチェーンのどの部分においても、絶対に生きた鳥から羽が摘まれることがないようにしなければならないのです。それは食肉用にふ化される卵を産むガチョウ農場も含めてです。

フォアグラ用のガチョウからのダウンを採取することには抵抗があります。私たちは自分たちがおこなった調査からとても多くのことを学びましたが、いまだに生きた鳥から摘まれたのでもなく、フォアグラ用でもないダウンを提供できる代替えのサプライヤーは見つかっていません。私たちはダウンのサプライチェーンの知識を深め、私たちを教育してくれる〈Four Paws〉などのNGOとの対話をもちつづけるつもりです。

私たちはまた、アウトドア産業協会とダウン製品とサプライチェーンについてのテキスタイル・エクスチェンジ・タスクフォースや、その親団体であるトレーサビリティー・ワークグループの設立にも参加しています。そのゴールは複雑なサプライチェーンを追跡するための水準と方法を設定するために、ブランドとサプライヤーの協力関係を築くことです。

そして私たちはこれからも私たちが学んだことを皆様にお伝えしていきます。

当面のあいだは、6月にお伝えした注意事項はいまも有効です。靴に使われるレザーを含め、動物製品を避けているビーガンの方は、ダウン製品を避けることが賢明かもしれません。そしてフォアグラは飼育/販売されるべきでないとお考えの方は、その副産物も避けたほうが良いかもしれません。パタゴニアは化繊のインサレーションを使用したウェアも、さまざまな種類を提供しています。化繊のインサレーションはダウンのような保温性の効率ではありませんが、濡れるようなコンディションではダウンより有効に、非常に優れた保温性を発揮します。

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