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世界の果ての菜園

ハヴィア・ソレル  /  2018年11月15日  /  読み終えるまで7分  /  アクティビズム, 食品

夏に空中撮影したパタゴニア公園のバイオインテンシブ菜園。30種以上の作物が味覚のオーケストラを成す。Photo: James Q Martin

現状の土壌喪失、炭素汚染、惑星の温暖化がつづけば、私たちを待ち受けているのは、人間がその生存を依存する食物の95%がわずか60回の収穫ののちに育たなくなる未来です。それと同時に、この災難を防止する方法が手中にあります。それは環境再生型有機農業です。だからパタゴニアは、〈ロデール・インスティチュート〉と協力して、私たちの未来を保護するための慣行(最小限の耕作、混植、間作、化学薬品の無使用)を識別し、促進する環境再生型オーガニック認証(ROC)を設定するため、農業、牧場、土壌の健康、動物福祉と農業従事者の公平性の分野における多岐にわたる組織とビジネスの同盟である〈リジェネラティブ・オーガニック・アライアンス(ROA)〉の陣頭指揮を取るのです。

「パタゴニアには、大きな変革を先導し、それをお客様に売り込むことへの経験があります」と語るのはパタゴニアCEOのローズ・マーカリオ。「環境再生型有機農業の新しい認証により、ブランドには高い基準が設定され、消費者にはガイダンスが提供され、この緊急に必要とされる動きは次のレベルにまで引き上げられることでしょう」

食用作物に適切であることはまた、衣類の繊維の元となる作物についても同様です。パタゴニア社内ではオーガニックコットンのみならず、私たちの食品事業であるパタゴニア プロビジョンズのレンティル、穀物、バッファローのサプライヤーと試験的なROCプログラムに着手しました。

〈リジェネラティブ・オーガニック・アライアンス(ROA)〉のパートナーとともに、私たちは一般からのフィードバックを集めて取り入れます。少数の生産者グループや認証仲間と協力して一連の試験的監査を実行し、農場と牧場レベルにおいて、どのようにすればROC基準が最も有効に履行できるかについて理解します。そしてチリ領パタゴニアの農場2箇所(この物語はそのうちのひとつ)など、現場の先駆者たちからの物語を共有していきます。

https://youtu.be/pOM1zJ4OyCw

パタゴニアでみずからの食物を育てる

サンティアゴの南2千キロに位置し、アイセン地方の山々に囲まれた壮大なチャカブコ・バレーは、その地方の植民の発祥地である、パワフルな過去をもつ旧牧場です。

昨年、この8万ヘクタール以上の渓谷は、〈トンプキンス・コンサベーション〉によってチリ政府に寄付されました。この寄付により、北に隣接するジェイエニメニ国立保護区と南のタマンゴ国立保護区とともにパタゴニア国立公園となり、今日では、その26万3千ヘクタールに最高レベルの保護を約束するとともに、固有の草原の生態系、湿地帯、氷河、豊かな野生動物を守っています。

公園内には、高原の中央に2人の若い農夫が守る小さな菜園があります。

私たちはチリ中央部で農業科学を学びました。そこはかつて従来農法と大規模な経済モデルが土壌と生態系を破壊した場所でもあります。

世界の果ての菜園

農夫のひとり、フランシスコ・ヴィオが、パタゴニア公園のバイオインテンシブ菜園で「ラポタ」を移植するための苗床を準備中。Photo: James Q Martin

私たちは化学肥料と殺虫剤が引き起こした汚染と侵食、そして山火事の影響を直接経験しました。中部の景観のほぼすべてがかつては自生森と豊かな草原でしたが、今日それはほぼすべて砂漠化しています。グアナコやプーマ、コンドルが徘徊していた過去を記憶する人は誰もいません。

このことを理解すれば、他に選択肢がないことに気づきます。私たちは食物を生産し、自然と関わる方法を変える、緊急の必要性を感じたのです。私たちは指揮を取ることを選びました。

私たちは工業農業がまだ到達していないパタゴニアにやって来ました。それは長期的な影響を及ぼす絶好の機会です。

私たちはボランティアで公園にやって来ました。おもな目的は新鮮な食料を労働者とレストランに供給し、生産性と美しさを両立させることでした。〈トンプキンス・コンサベーション〉が設定した公園はすべて、その美しさからインスピレーションを得ているからです。

第2の目標も、同等に重要で、それは地元の環境に適した環境再生型農業の方法を開発することでした。私たちの希望は、それが真の経済的代替作となることを示すことでした。タスク毎の作業時間からエリア単位の収穫高、種付けから収穫までの日数まで、私たちは行うすべてのことについてデータを収集しています。

この地方で消費される食料の80%が、従来農法で育てられている北部から輸入されたものです。地方では職がなく、若者は街へと移り住むため、地方の農家の平均年齢は60歳です。

到着したとき、私たちにはこの地方に適した作業方法はありませんでした。有機農業には経験がありましたが、それはトラクターなどを使用した別の状況においてのことです。最終的に私たちはジョン・ジェヴォンス、そしてのちにエリオット・コールマン、カーティス・ストーン、ジャン-マーティン・フォーティエーの仕事を知るようになり、それにより私たちの仕事のやり方は変わりました。

バイオインテンシブ農法は人間規模の農法です。化石燃料に依存せず、生きた土壌と仕事をします。だから化学肥料や殺虫剤を使用しないばかりではなく、堆肥、緑肥、輪作のおかげで、毎年肥沃な土壌になっていきます。

私たちは花を植えて昆虫を引きつけ、生物多様性を高めます。菜園に鳥が住み、被害を巻き起こす昆虫を食べてもらうために、小さな野鳥小屋を建てます。それは命が鼓動する豊富さと美しさの空間です。

先シーズン私たちは3.5トン以上の新鮮な食物を収穫しました。とても小さな区画で、家庭とレストランからの廃棄物を使ってここで作った堆肥だけを使用しました。私たちが育てたのは、35種類以上の野菜と20種類の花、そして薬草です。

この4年間、ボランティアは世界各地からやって来ました。まだ小さな運動ですが、急速に広まっています。もちろん早すぎるということはありません!

世界の果ての菜園

パタゴニア公園のバイオインテンシブ菜園のハヴィア・ソレラとボランティアたち。過去4年間、世界各地から80人以上がこの菜園で働くためにやって来た。Photo: Cherilia Poluan

試みはつづきます。毎年が試行錯誤であり、データ収集と計画のやり直しです。私たちは一般の人たちが利用できるように、パタゴニアでの作物のための情報を作成しています。

私たちの目的は別の農業モデルが可能であることを示し、従来農法のパラダイムを破ることです。私たちが本物の食物を育てたいのは、大事だと思うからです。だから指揮を取るのです。

今日パタゴニア公園の菜園を新しい農夫のアンヘルに委ねます。農林省の支援のもと、私たちは公園のすぐ外に、新しい農場を始動します。その目標はアイセン地方の真の商業化という状況でバイオインテンシブ農法を有効にし、その経験を地元の農家に伝達することです。そうしてこの地域が、その農業において本物の食料、生物多様性、自然の豊かさを作り出す場所になるための長い旅路に出てもらうよう彼らに刺激を与え、健康なコミュニティ開発を促進することです。

エル・フエルト・デ・クアトロ・エスタシオネス〉は1か月の実習生を募集中。目的は未来の農家に環境再生型農業慣行に基づいた農業を営むための動機付けし、教育し、力を与えることで、今季はバイオインテンシブ・マーケット・ガーデニングに焦点を当てます。

参加者は壮大な環境を楽しみ、世界各地からの人びとと分かち合いながら、まったく異なる気候のもとで最高品質の食物を小規模生産することを学ぶことでしょう。

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