抗議する権利を守る
イラスト入り写真は、全てジョジュエ・リヴァスによる。ジョジュエは、フイルム写真にイラストを重ねることで、写真の画像だけでは目で見ることのできないものを表そうとする。
10年近く前、旧友から電話をもらった。スタンディングロックを拠点にダコタアクセス・パイプライン(DAPL)の建設に反対する先住民の環境リーダーだ。スタンディングロック・キャンプで、彼らは通信・メディア対応用のスマホを充電するための太陽光発電機と、非暴力による直接行動と非過激化を原則として、拡大する抗議集団を教育する数人のエキスパートを必要としていた。当時、彼は雇われた警備員が抗議者への敵意を増しつつあることを感知し、抗議活動を平和に維持したいと考えていた。
私は躊躇することなく、速やかにグリーンピースUSAの同僚を動員した。まもなくローリングサンライト号(我々の移動式太陽光発電トラック)と数人のトレーナーが出発した。
こんなことでノースダコタ史上最大の訴訟の1つが始まるとは思わないだろう。ところが、こうした小さな支援行為を理由に、DAPLの背後にいる石油会社エナジー・トランスファーは、グリーンピースに3億ドルを請求する訴訟を起こしている。スタンディングロックの抗議を支援する我々の取り組みは、彼らの不当な主張によると、同社に数億ドルの損失を与えたという。
エナジー・トランスファー社にとってグリーンピースの金は、確かに若干の特典に違いないが、本当に欲しいものではない。むしろ、エナジー・トランスファーのCEOは、グリーンピースへの資金提供を打ち切りたいと述べることで、我々の連帯行動が「不法」であり、「米国では容認されない」という「メッセージを送った」ことになる。
エナジー・トランスファーは単独で行動しているわけではない。この数年、企業の利害関係者は、活動家が問題に対処しようと集まった時にすること――大声を上げ、組織を作り、協力し、募金を集め、そして民主的参加によって結果を出す道が閉ざされた時には、非暴力による市民の抵抗として、身を危険にさらすなどの行動を取る権利――を弱体化させようと躍起になっている。
クリーンな再生可能エネルギーへの移行を受け入れるどころか、化石燃料の受益者と彼らに同調する政府関係者は、継続的な採取が人類や生態系に課す代償に対処せずに水圧破砕、掘削、採掘を続けることがまかり通るように、抵抗の強力な手段を脆弱化することを狙っている。
平和な抵抗に対するシステマティックな攻撃は、SLAPP(市民参加に対する戦略的訴訟)や抗議活動防止法など、さまざまな形を取る。
SLAPPは、企業による法的ないじめの一種だ。このメリットのない訴訟は、必ずしも裁判に勝つために練られたものではなく、恫喝、関心の散逸、破産、疲弊、批判の鎮静化を意図している。これらの訴訟は、グリーンピースのように大規模で著名な組織だけでなく、小規模な地元のコミュニティグループ、メディア・プラットフォーム、さらに個人に対しても行われる。例えば、ウエストバージニア州では、私の知るコミュニティ主催者のアレックス・マッキノン(仮名)が、アパラチア山脈の登山道を横切る全長300マイル、数十億ドルのパイプライン敷設に反対したために、数十名の活動家と共に、化石燃料企業のグループに訴えられた。
現在、米国の33州が反SLAPP法を設けているが、こうした法律があっても、SLAPPで活動家を訴える企業は、どちらかといえば取るに足りない罰金で済む一方で、活動家は人生の数年間、偽りとはいえ高額な法的手続きの重荷を負わされる。しばしば、SLAPPの被告人は、訴訟に巻き込むことを恐れて、友人や協力者に詳細を話すことさえできない。
「これは隔離であり、ただただ長引くだけ」とアレックスは私に言った。彼の事件はまだこれから裁判にかけられようとしている。
抗議を黙らせるもう1つの手段は、憲法で保護された行為を違法としたり、既に違法とされる行為の罰則を強化したりする法律だ。例えば、不法侵入を重罪に変えたり、起訴状に国内テロの容疑を追加したりする。2017年以降、米国44州が抗議活動防止法(一般的に「重要インフラストラクチャ法案」で知られる)を採択しており、さらに20以上の追加法案が審議中である。これらの法律は、アレックスのような活動家をターゲットに使用されており、抗議者への厳しい弾圧を正当化するために、化石燃料やその他の産業資産に「重要インフラストラクチャ」のラベルを貼る。
土地を守ろうとする先住民は、特に抵抗を違法と見なされやすい。スタンディングロックの抗議活動のリーダーであるニック・ティルセンは最近、不法に差し押さえられたラコタ領域(別名:ブラックヒルズ)の返還を要求する平和的な抗議活動を指導し、ひいては先住民族の権利を回復し、この土地をこれ以上の採掘から保護しようとしたが、その後、禁錮17年の脅威に直面した。

ニック・ティルセン(中央左)と水を守る活動家らは、スタンディングロック・スー族の聖地であり、墓地でもあるタートル島へ架けられた手作りの橋を渡る。
多くの化石燃料企業は、SLAPP訴訟を起こす一方で、抗議活動防止法のロビー活動も行っている。2023年のグリーンピースの調査によると、2010年以降のSLAPPやその他の形での法的ハラスメントの75%(116件中の86件)は、これらの抗議活動防止刑法の草案や可決に協力した企業によって提訴されていた。石油・ガスの大手は万全を期して、警鐘を鳴らすあらゆる者を黙らせようとしているが、それこそ我々が今やらなければならないことだ。
抗議活動へのこうした大規模な攻撃について、なぜ企業の受益者や彼らに同調する政府関係者が我々の声を上げる権利にこれほど怯えるのかを、我々は自問しなければならない。私にしてみれば、答えは明白である。異議は、無力な人間にとって通貨だ。それは売買できず、決して停滞せず、ただ拡大するか、それとも鎮圧されるかである。金持ちや権力者は、そこまで頑固に民主主義にしがみついたことがない。だから抗議を撲滅しようとする彼らの意欲も、それほど響いたことがない。
意思決定プロセスから最も除外されたコミュニティは、この真実を最もよく知っている。彼らにとって、抗議はしばしば、手の届きやすい唯一の民主的参加の道だ。市民の不服従が(時には違法行為を伴う戦術であるが)マーチン・ルーサー・キング・ジュニア、ローザ・パークス、ガンジーのような人々によって指揮された世界中の社会運動で、人間の権利の輝かしい勝利を築くことに役立った一因はそこにある。
しかも抵抗は、言葉によるにせよ、体によるにせよ、力を持つ利害関係者を脅かす。それは個人や社会から取り残されたグループに権限を与えられるからだ。抵抗者に対する州の認可した暴力は、黒人、先住民族、その他の有色人種に不当に向けられるため、グリーンピースがスタンディングロックの抗議を支援したような連帯行為が、よりいっそう重要になる。
「気象危機を懸念する私たちには、日常生活が認知的不協和のように感じられます」と活動家で役者のジェーン・フォンダは最近私に語った。「声を上げる時、市民の不服従運動に参加する時、身を危険にさらす時、私は自分の体と価値観が完全に一致したように感じます。そうした一致を出発点にすることで、私はより良い形で、私たちに今すぐ必要な変化を擁護することができるのです」
私は30年にわたって環境活動や抗議に携わり、市民の不服従運動にも数多く参加する中で、そうしたパワーを感じてきた。そして、先住民の活動家による勇敢な行為と連帯してグリーンピースを動員した自らの決断を主張するために証言台に立つ時も、同じパワーを感じるだろう。
ノースダコタ州ビスマークのその小さな法廷に、私は堂々と入り、陪審員の眼を見つめ、真実を語るだろう。平和な抵抗が攻撃されている。だが、それなくして我々全員が依存するこの惑星にチャンスはない。