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ミーガン・ブラウン  /  2019年3月18日  /  読み終えるまで3分  /  トレイルランニング

原生地域の中には他より野生的な場所もある。アメリカ合衆国森林局によると「ザ・ボブ」はアラスカを除く国内で、グリズリーベアが最も密集して生息する地域であり、オオカミやマウンテンライオン、その他の大型哺乳類の生息地でもある。徒歩か馬でしか旅することのできない、人里離れたその3,000 キロメートル近いトレイルの一部を走る人は、そうした事実に思わず足取りが弾むかもしれない。モンタナ州ボブ・マーシャル原生地域  Photo: Steven Gnam

スローモーション級の遅さで、虫に刺されまくる、とてつもなく長いランニングの、疲労困憊の喜びのために。

長距離ランニングでは、時間が拡張と圧縮を繰り返す。ルート探しや長時間の不快感は永遠につづき、景色の移り変わりはまるでスローモーションの映画のよう。周囲の光の微妙な変化と溜まっていく疲労を感じながら、ふと気づけばすでに数時間が過ぎ去っている。

昨年の夏、私は家族や友人など20人あまりで、ボブ・マーシャル原生地域を走って横断した。父がハングリー・ホース貯水池からシーリー湖のキャンプ場までのコースを練り、ランナーを募った。私はボーイフレンドのマットと飛行機で現地に向かって車の移動と食料の運搬を手伝い、弟はトレイルヘッドで合流した。道のない原生地域の外れに、通年そこで暮らしているホースパッカーの人たちがいて、私たちはその隣にテントを張った。そして翌朝、ヘッドランプがいらない程度にうっすらと夜が明けると同時に、走りはじめた。推定距離は72キロメートルだったが、地図の組み合わせが間違っていて、実際には84キロメートル近くあることに誰かが気づいたのは、開始後まもなくのことだった。

尾根で風に吹きさらされ、広野で砂埃に巻かれ、川を渡り、起伏をたどり、雪原を抜け、蚊に刺され、レイヤーを着替え、飲み水をフィルターで濾過し、野生動物を目撃し、危うげな岩をよじ登った。そしてこれまでの人生で目にしたなかで最も素晴らしい夕日を見た16時間後、マットと私はよろよろと森を抜け、ついに湖の上に出た。ランタンで照らされたトレイルをたどってキャンプ場に着くと、そこは赤々と燃え上がるキャンプファイヤーの灯りでテント村のように見えた。誰かがビールを手渡してくれた。これほどビールをありがたいと思ったことはなかった。

キャンプ場で調理を手伝うためにミズーラから車でやって来た友人たちは、帰り際ランナーのためにコースの最後の峠までスニッカーズとコーラを運んでくれることになっていて、私たちは彼らに状況報告を託した。それからすでに走り終えていたランナーたちと体験談を交換した。完走しそうになかった2人のランナーに代替ルートを教えた話(彼らは結局ハングリー・ホースまでヒッチハイクし、そこからウーバーを使って家に帰った)、荷物を積んだラバの列との遭遇、バックカントリーの奥深くでキャンプをしていた1人の男性が飲み水を分けてくれたこと、ピクチャー・リッジからの眺め、フラットヘッドのサウスフォークの冷たい水を対岸まで渡るため、手をつないで体でエディを作らなければならなかった場所。そんなことについてキャンプファイヤーの横で弟のガールフレンドのサラと話していると、やがて私の脚が痛みはじめ、立っても座ってもいられなくなった。マットはもう眠っていたので、私は寝袋にもぐり込んで、父と弟が完走するのを待った。皮の剥けた足が寝袋の生地で擦れないよう、気をつけながら。

ついに2人が到着したのは、午前4時ごろ。夜明け直前で、私たちは残りのポテトチップスとビールを少しずつ分け合った。キャンプは静まりかえっていた。

このストーリーの初出はパタゴニアのです。

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