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Words of wisdom – 偉大なるサーファーたちの教え

 /  2012年1月19日  /  サーフィン, コミュニティ

2011年の夏、パタゴニア・アンバサダーの岡崎友子名古屋サーフ東京仙台札幌北の各ストアで「Words of wisdom」と題したスピーカーシリーズを行いました。そこではさまざまなスポーツにかかわりながら世界中を旅し、また多くのマスターたちにインタビューしてきたなかで彼女の心に残っている言葉やできごと、そしてそこから自身が感じたことや学んだこと、受けた影響などについて語られました。12月にはジェリー・ロペスとのエピソードをここで紹介しましたが、今日はその第2弾をお届けいたします。

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誰かに言われたことや本で読んだことがずっと自分のなかに残っていて、ふとしたときに思い出されることは誰にでもあると思います。私も悩んでいるときや方向を見失ったときに思い出す言葉がたくさんあります。海にどっぷりと浸かった生活をしていることもあり、サーファーや海の先達から受ける影響が大きいのはもちろんですが、スポーツだけでなく海を通していろんなことを感じたり、学んだりすることも多くあります。そして長いあいだ海と深く付き合ってきた人たちの言葉には、海だけにかぎらず、すべてのことに当てはめることのできる教えがとても多いのです。

レアード・ハミルトンはいまでは世界一のビッグウェイブ・サーファーとして有名ですが、20年前は一部の人だけが知る、アンダーグラウンドのエキセントリックなサーファーでした。たしかに体こそ恵まれてはいますが、いまの彼があるのはつねにはっきりとしたビジョンをもち、それを形にしようと失敗を繰りかえしてもあきらめずに何年でもつづける、その根気にあると思います。トウインサーフィンが一般的になったのは90年代後半ですが、彼らは80年代後半からパワーのないゴムボートや一人乗りのジェットスキーなどを使って、危なっかしいサーフボードで目も当てられないようなワイプアウトを繰りかえしながら技術と道具を開発してきたのです。あの想像を絶するライディングは10年以上の地道な努力があってのことです。スタンドアップも皆がはじめる10年以上も前から彼は一人でバチャンバチャンとひっくり返りながらひとつひとつの問題をクリアし、上達していってチョープーを攻めるまでにいたりました。はじめたころの彼を見て、何をやっているのかと笑う人も多かったのですが、彼は気にもしない。何より自分のビジョンと自分の可能性を信じることができ、そしてそれに何年でもかけて向かっていく忍耐力もありました。どんなことでも本当にやりたいと強く思う気持ちがあれば、そしてビジョンを明白にもって努力しつづけ、自分を信じれば達成できる。レアードを見て、そう思うようになりました。

「人の一生はほんとにあっという間で無駄にする時間はまったくないが、自分が本気でやりたいと思うことを達成するためには、それがどんなことであろうと十分な時間がある」 レアードのこの言葉はいくらがんばってもなかなか上達しない私をたびたび励ましてくれます。

数年前、レジェンドサーファーである、ドクター・パスコウイッツ医師をインタビューする幸運に恵まれました。彼はサーフィンの生き字引きともいえる存在で、「ジェリー・ロペスがヨチヨチ歩きながら、裸のまま砂浜で遊んでいたことを覚えているよ」と話す彼の言葉からも、どれだけ長くサーフィンの歴史にかかわっているかが理解できると思います。医師としてハワイで病院に勤務したものの、あまりの激務とストレスに体を壊し、眠れなくなってしまった彼は、真の健康とは何かを探っているうちに健康に必要な条件というものを編み出します。その条件とは次の5つです。
1.健康な食生活
2.適度な運動
3.十分な休息
4.レクリエーション
5.ポジティブな気持ちの持ち方

そして、これらを実践するため、奥さんと9人の子供たちと一緒に、キャンピングカーで移動しながらリクリエーションであるサーフィンをつづける放浪貧乏生活を送るようになります。変わり者が多いサーファーのなかでもかなりのエキセントリック度でありながら、愛に溢れ、本当に多くの人びとにサーフィンを紹介してきた彼が話してくれた数々のエピソードは、そのひとつひとつが本当に価値のある、サーフィン史の一ページとして記録されるべきものばかりでした。それにしても健康の条件にリクリエーションが入るところは興味深かったのですが、そのとき彼が説明してたのが、リクリエーション(Recreation)とはRe(ふたたび)Create(つくる)、つまり再生するということで、自分が空っぽになっているときや、疲れて擦り切れるほどの思いのときには、このリクリエーションが自分を再生するために必要なのだそうです。そういわれるとたしかにそうなのです。疲れたり、落ち込んでいるときに海に入っただけで気持ちが明るくなるのにも納得がいきます。そう考えるとリクリエーションの大切さ、海に入ったり山で遊ぶことの正当性を実感しました。遊ぶことが自分を再生してくれるのです。

ドクター・パスコウイッツ医師は80歳を過ぎてもまだサーフィンをつづけていましたが、70代半ばのミッキー・ムニョスもそれに負けない骨の髄まで現役のサーファーです。彼は50年代のマリブで「クァジモト」というライディングスタイルで有名になったあと、ハワイではじめてワイメアに挑戦した サーファーの一人としても知られ、その後も70年代、80年代と純粋にサーフィンを楽しみつづけてきました。そして2011年をむかえてもその気持ちはまったく変わっておらず、いまはスタンドアップに夢中です。インタビューを申し込んでもなかなか時間を決めてくれず、面倒くさいのかと思っていたら、じつはいつ海のコンディションがよくなるかわからないので先のことは決められないということでした。それほど海をいちばんに優先した生活を送っているのです。インタビューをしたあと、いそいそと海に出かけていく彼のようすはまるでサーフィンをはじめたばかりのティーンエイジャーのようなストークぶり。新しいことにオープンでなんでも楽しむ彼だからこその姿です。彼の本がPatagonia Booksから出版されましたが(日本は未定)、『No bad waves』というタイトルこそ、彼の姿勢そのものであり、何十年もリーダー/レジェンドとして現役でいつづける鍵なのだと思います。

もちろん若いサーファーたちからもたくさんのインスピレーションをもらいますが、長老たちの話は独特で奥が深く、とくに70~80歳に達するパイオニアたちが語る当時の話は次の世代に伝えられるよう、すべて記録しておきたいほどです。いろんなサーファーたちがいろんな言葉や行動ですばらしい生き方を示してくれますが、共通するのは海とまわりの人に敬意を示すことを忘れず、謙虚であり、そして子供のようなピュアな心で楽しむことを忘れずに、新しい変化や試みにオープンであることです。サーファーであろうとなかろうと、人は皆、自分が幸せになれる方法を一生かけて探っているように思います。サーファーは海をつうじて幸せを見つけることができ、そして海から必要なことを学ぶことができます。この方法はほかの方法よりも無駄がなく、シンプルでわかりやすいのではないかと私は思っています。

先輩方を追いかけながら、自分はどうありたいかと考えるとき、私の頭に浮かぶのは、「つねに頭を柔軟に、新しいことに目を向け、自分の限界を受け入れつつも、自分の可能性を信じること」 心が落ち着き、平和で、そしてまわりの人たちに迷惑をかけることなく(それは物質面においても、精神面においてもですが)、自分がやりたいことをできるかぎりやる。そのためにも健康な体と精神状態を保つことを大切にしています。そうすることでどんな状況においてもいい方向に目を向けることができ、どんな波でも楽しめる。それこそが人生を幸せに過ごす鍵なのではないでしょうか。

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