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海に浮かぶゴミ箱

ガブリエラ・アウン  /  2021年7月6日  /  サーフィン

ベン・ウィルキンソンは、救出した木材で家具・彫像・サーフボードを作る時も、世界各地で大波を追いかける時も、本能に導かれている。「夢中になれることをやっているだけさ」と彼は言う。

今は家庭に2人の小さな子どもがいる。ネムノキの厚板を作品に仕上げたり、エディ・アイカウ・ビッグウェーブ・インビテーショナルに出たり、孤独なボートに生命を与えたりする代わりに、子どもたちの未来を見据えたプロジェクトに情熱を注いでいる。「子どもたちから受けた愛情に、人生とは何かについてハッとされられたよ」とウィルキンソンは言う。「この子たちに何を残せるだろうかと考えるようになったんだ。」ウィルキンソンは、自身の建築技術をオアフ島の新しい環境事業に応用し、ホノルルのアラワイハーバーに3基の「シービン」を設置し、メンテナンスを行っている。

ウィルキンソンがこの事業を知ったのは、シービンプロジェクトの共同設立者兼CEOのピート・セグリンスキーの兄弟であるアンディと大工仕事をした時だった。ホノルルでシービンのイベントをやるから、ディスプレイを作るのを手伝ってくれないかと頼まれたのだ。「ピートに製品を見せられ、自分も参加して何かを変えてみたいと思った。毎日の暮らしでかなりいろんな道具を使っているからね。これも使ってみるべきちょっとしたクリエイティブな道具の1つだったのさ。」

オーストラリアで設立された「シービンプロジェクト」は、水路に溜まる廃棄物を集めるゴミ回収装置を世界中の湾に設置している。シービンとは、ドックに取り付けられた水に浮かぶゴミ箱だ。ポンプで水を吸い上げ、ネットとろ過装置によって、マイクロプラスチックから1ミリ程度のものまでゴミを収集し、そして油やその他の汚染物質を吸収して海水から除去する。「海にゴミ箱を置くなんて、まったく当たり前のことを、これまで誰もやらなかった」とピートは言う。

1基のシービンが1日にろ過する海水は60万リットル以上。53か国に1,100基のシービンが設置されており、それぞれが1日平均4.2 kgのゴミを回収するから、このプロジェクトは現在、毎日世界中で4.6トン近いゴミを回収している。

運用1年目に、ホノルルのシービンはこの湾から約4.5トンのゴミを回収すると予想される。しかし、ウィルキンソンは市民の教育という点でもシービンは重要なツールになると言う。「アラワイは汚いが、ゴミは陸から出たものだ。つまり自分たちからだよ。シービンがいつもゴミで一杯なのを人々に見せることができたら、責任を負うべきだと教えることになる。」

セグリンスキーも同意見だ。「掃除が解決じゃない。掃除しなくてすむことが解決なんだ。」今シーズンはシービンをデータ収集ツールと位置付け、ゴミ回収は二の次とした。「海を掃除することは我々がやっていることの副産物。まずはデータが先」と彼は言う。「海をきれいにすることに投資しようとする意思決定者は、そこに何があるかを、その量を、それが何で、どこから来るかを知る必要がある。解決策を実行する者は、その策がどうなっているかを知る必要がある。」

シービンは、シドニーハーバーで、「シティパイロット」プログラムという強力なデータ収集活動を行っている。湾内に20基のシービンを設置し、スタッフやボランティアのネットワークが毎月回収される2.52トンのゴミの内容を正確に記録する。その情報はシービンのPollution Index™データプログラムにアップロードされ、シドニーの水路に何がどれくらい流れ込んでいるかについて、公的機関に情報を提供している。シービンの次世代バージョン「V6」は、インターネットに接続するデータセンサーを搭載しており、水温・溶存酸素・塩分濃度・pHレベルを記録し、自動的にアップロードすることができる。

現在、ホノルルでデータ収集を行っているのは、「グリーンマン・ハワイ」ことフェルナンド・トーレスである。彼は毎日、アラワイのシービンの中身を取り出す。シービンが設置される以前、トーレスはプール用のゴミすくいで湾を定期的に掃除していた。「ハーバーを通る人に笑われることもあるよ。別に海からプラスチックを一掃しようなんて思ってない。地域の意識を喚起しようとしているんだ。これを見た人が、家に帰って、身の回りのプラスチックを全部見直し、変化を起こそうとするかもしれないからね。」

現在、トーレスは、シービンの中身を廃棄する前に何が入っているかを正確に記録することで、シービンに関わる毎週の汚染指数を調査している。最も一般的な内容物は、体積ではナードル(ほぼすべてのプラスチック製品の原料であるプラスチック樹脂粒)などのマイクロプラスチックであり、重さでは硬質プラスチックの食品包装材だ。

ウィルキンソンとトーレスはタッグを組んだ。ウィルキンソンが設置と修理を管理し、トーレスが日常のメンテナンスを担当する。それからすぐ、ふたりはさらに3基のシービンをハワイ・ヨットクラブの前に設置した。このクラブでは数々の青少年プログラムが開催されるため、シービンを子どもたちに見せ、海洋汚染について重要な話のきっかけを作るには絶好の場所だ。「昨日、ハーバーで修理をしていたら、通りかかる人の2人に1人がシービンについて話をしたがってたよ」ウィルキンソンは言う。

世界の海洋廃棄物という途方もない課題に直面し、ウィルキンソンはシービンに取り組みながら、回収した廃棄物を再利用する道を見つけようとしている。けれど劣化や汚染がひどすぎて、現存する方法でリサイクルすることは不可能だ。しかし「この問題は修復不可能」と言う人がいたとしても、ウィルキンソンは思いとどまったりはしない。

「若い頃、人生最大の目標はエディ・アイカウのビッグウェーブ大会に出ることだった」と彼は言う。「周囲にはベテランサーファーがいて、友人たちは『お前には無理』と言ったけど、僕はそれを成し遂げた。エディの熱狂の波に乗ったんだ。そして今、僕には成し遂げたい新しい達成不可能な目標ができた。エディでサーフィンをしようとした頃は、とてもワクワクしたもんさ。その頃と同じ気持ちを、今これをやりながら感じるんだ。」

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