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フローティングライン

スティーブ・デューダ  /  2025年6月17日  /  フライフィッシング

パックラフトに乗って北極圏国立野生生物保護区を目撃する。

全ての写真:アンドリュー・バー 

2024年8月、釣り人のサッド・フェレルとサラ・テシャーは、写真家のアンドリュー・バーと共に、アラスカ北東部のコンガカット川下流をボートで45マイル下った。それは身軽な旅で、3人は川下りを中断しては、キャンプをしたり、この川に自生するホッキョクイワナやグレーリングに釣り糸を垂れたり、山、麓の丘、ツンドラ、海岸平野、河川の広大な景観を撮影したりした。コンガカット川は、その全流域が道路のない北極圏国立野生生物保護区に属し、北に向かって流れ、北極海に注ぐ。この北極圏保護区は、グウィッチン族とイヌピアット族の先祖伝来の土地だ。 グウィッチン族はこの一帯の海岸平野を「生命が始まる聖なる場所」と呼ぶ。

サウスカロライナ州とほぼ同じ、約2,000万エーカーの広さを持つこの北極圏保護区は、米国最大で、最も遠隔地にある国立野生生物保護区の1つだ。1980年のアラスカ国益土地保全法によって、境界内での試掘と石油生産には、議会の承認と環境影響調査の完了を必要とする新たなハードルが設けられた。こうして、共和党政権がこの地域で石油生産の許可に何十回となく挑戦する余地が残された。そして今日、その脅威が再び現実となっている。

昨年、ドナルド・トランプ大統領は再出馬に臨んで、サラ・ペイリンのキャッチフレーズ「掘って、掘って、掘りまくれ」を頻繁に口にし、当選したら、北極圏保護区の掘削を解禁すると約束した。彼は「極めて早急に進める」と言い、同地域の石油埋蔵量がサウジアラビアと同程度、もしくはそれ以上であると主張した。

そして彼はそれをやろうとしている。ホワイトハウス復帰初日、彼は北極圏保護区を石油・ガス掘削に開放する大統領令に署名した。人間が引き起こした気候変動を「でっち上げ」と呼ぶトランプは、この地域の石油埋蔵量を誤解している。それはサウジアラビアの膨大な埋蔵量の7パーセント以下と見積もられる。さらに、彼は需要についても間違っているようだ。土地管理局が前回開催した同地の石油・ガス鉱区リースのオークションでは、入札がゼロ件だった。

そもそも、今回の3人の任務は、地球上に最後に残された未踏で手付かずの景観を撮影しようというものだった。ところが、今やこれらの写真は行動への明確な呼び掛けであり、何が危機に瀕しているかをはっきりと思い出させる。

アンドリュー・バー: これは崖の上から撮影した。川の上からは見えない展望を得ようと、私は絶えずボートを乗り降りした。それは魚を探すためでもあった。水がとても透き通っているから魚影を見ることができた。

サッド・フェレル: 旅の準備段階では、釣りのやり方を完全に忘れてしまうのではないかというバカみたいな不安を抱いていた。でも、そこに着いた途端に、とにかく集中力が高まり、不安から解放され、自分が本来すべきことをしているように感じられた。フライフィッシングとのつながりが改められたよ。

サラ・テシャー: ウェーディングは見た目以上に難しい。それほど水深があるとは思わないだろうけど、あと一歩でも前に出れば、サッドは腰まで浸かったでしょう。

サッド: ここもこの旅で一番楽しかった水域だ。恐くないが、寒かったから君らは泳ぎたがらなかった。この水域を偵察している時に、カワアイサの群れを見た。僕らに気付くと、目の前で急流から飛びたっていった。急流を飛んで越えるかと思いきや、ただ遊んでいたのさ。

サラ: この日はひどく寒くはなかったし、それに奥地の急流ではアドレナリンが出てハイになるから、寒くても気付かない。

アンドリュー: これは4枚の地形図をはぎ合わせたもの。他の2人にもメモを記入してもらった。私は日々の思いを、この領域で感じたことを、記録しようとしていた。後から色を加えた。

サッド: これは厄介な徒渉だった。ほんの一瞬でトラブルに巻き込まれかねない。幾筋も支流があって、本流は僕らの腰よりも深いんだ。持っていた服を全て着ていたから、水に浸かりたくなかった。あの瞬間は全力で集中した。僕はあの大きな魚を探していたんだ。

アンドリュー: 2人は魚を見つけようと、歩くことに多くの時間を費やした。彼らは必死だった。私が釣りをしなかったのは、カメラの後ろが私にとって幸せな場所だからだ。自分の仕事に情熱を注ぎ、ひたすら突き進む人が好きだ。

(左) アンドリュー: 釣りに望ましい流れを探すために、この先にある釣り場を見渡したかった。ちょっとハイクに出ると、決まってこんな地形だ。このハイク中に雪に降られた。

サッド: 別の角度から景観をとらえると、その壮大さが頭や心にしっかりと刻まれる。

(右) サラ: 釣果のほとんどはメスだったけれど、これはオスのよう。メスは口紅を塗ったみたいに、鮮やかな赤い唇の美しい魚。メスの方がカラフルでポッチャリしていて、オスはより光沢があって全体的に大きめ。

アンドリュー: 私にはどれも大きく見えた。ネットに魚が収まれば、それだけでいい。

サッド: 自分がひどく小さく感じられるが、この空間にいられて幸運だった。

サラ: 絶対にパイプラインを通してはだめ。本当はここに行くべきかさえ、私は悩んだ。それくらい特別な場所で、もう二度と来ないだろうけれど、それでいい。私はここをカリブーのために残そうと思った。

(左) サラ: テントの内側を濡らすと、全ての荷物が濡れてしまう。何も濡れないように、雨が降り注ぐ下でテントを設営しようとした。20分待っていたら、晴れたのに。

(右) アンドリュー: 何の華やかさもない。これがリアルなキャンプであり、我々の携行品のほぼ全てだ。

サッド: 僕らはコーヒーをたくさん飲んで、カードゲームでたくさん遊んで、世の中の問題をたくさん解決した。

サラ: ここでグレーリングを釣った。魚が跳ねるのを見て、ドライフライに切り替えた。釣果は3尾。使用したのは8番のロイヤルウルフ。たぶん、私は釣果の80%をロイヤルウルフで釣り上げた。今回の旅の前に父から渡されたものだ。ロイヤルウルフは父のお気に入りのフライ。

サッド: ここは僕を安心させる。これ以上幸せな場所は思いつかない。この流れで、僕らは良い魚を、つまり大物をいくつか釣った。

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