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48時間ドレスで

ブリッタニー・グリフィス  /  2011年8月4日  /  クライミング, コミュニティ, デザイン

太陽が私たちの小さなアパートの部屋の温度を上げ、夢から目を覚ました私は、奇妙な光景に気づいた。床や布団、あるいは小さなツインベッドの上など、そこらじゅうに散らばった人たち。5〜6カ国語が飛び交い、お皿やグラスがカチカチと音を立てるなか、タバコとエスプレッソとバターの香りがかすかに漂う。開いた窓の外から聞こえてくるのはマーチングバンド。私たちは皆、昨夜(そして今朝の早朝まで)、フランスのシャモニーで開かれたゾーイとマックスのウェディングでの酔っ払いたち。頭が泥のように濁って機能しないまま、私はこの状況を理解しようとした。いま何時? このひどさは時差ぼけ、それとも二日酔いのせい? なぜドレスを着たまま寝ているのかしら。キーボードを打っているのはいったい誰なの?

私はJT(ジョナサン・セセンガ)の上を転がってベッドから起き上がると、床の一部と化したジャネットをまたいで部屋の隅をのぞきこんだ。タイプしていたのは布団のうえのケリーだった。ケリー! もうクリーネストライン用にこのウェディングの記事を書いてるの?! コソコソして嫌なヤツね!

「ケリー、何を書いてるの?」 私は疑わしげに聞いた。彼も私もたびたびクリーネストラインに記事を投稿している。きっと私を出し抜いてこのウェディングの記事を書こうとしているのだろう。クッションの上にピョコンと出てきた白髪まじりのマレットヘアの小人のように、彼はボタンの外れたドレスシャツをだらしなく羽織い、キャプリーン2・ボクサー・ブリーフをはいている。すごい光景だ。せわしなくキーボードをつつきながら、目を細めて一心にラップトップのスクリーンを見つめているケリー。すると映画『シャイニング』に出てくるジャック・ニコルソンもどきに、頭を動かさずに私の方を見た。

「あっ、いやいや、別に何もしてないよ」 ゆっくりとタイピングをつづけながら、彼は説得力なくつぶやく。

やられた! ケリーは本当にパタゴニアのブログ用にこのウェディングの記事を書きはじめていたのだ。私より優れた書き手なだけでなく、最高度のウェディングの二日酔いから私よりも3時間も早く目覚めて原稿を書けるなんて! アルピニストめ……なんで彼らは普通の人間のように眠らないの?

もう日曜日の午前も半ばになっていた。旅程はかなりきついスケジュールだった。私がソルトレーク・シティーを出発したのは金曜日の午後4:50。翌日土曜日の午後2:10にスイスのジュネーブに到着し、午後3:45からのシャモニーでのウェディングにぴったり間に合うよう、車に乗せていってもらうことになっていた。ジュネーブからシャモニーまでは1時間。十分間に合うわよね? でも念のため、ウェディングで着るドレスを着ておいた方がいいかも?着替える時間がなくても大丈夫なようにね。ほら、そうすればもう準備万端よ! そうして私はソルトレーク・シティーからのフライトに、スプレンダー・ドレスを着て搭乗した。

見た目にはほとんど分からないメルロー・ワインのしみと、睡眠薬のせいで垂れたかもしれないよだれで汚れたドレスを着て、MLCウィーリーだけを持った私は慌ただしくスイスの税関を通り抜けた。途中で税関の人に「エレガントだね」と褒められる。ありがとう、スプレンダー・ドレス! ゾーイの友だちが空港まで迎えにきてくれて、ウェディング会場まで連れていってくれた。式にはたったの3分遅れで到着。誰も私がちょこっとだけ遅れたことになんて気づきもしなかった。ましてや同じドレスを20時間以上着ていたことになんて……。すごいわ!

24時間後の日曜日の夕方、JT、ケリー、そして他の友人たちとプラザで夕食。その数時間前は、「旅の初日に済ましておく用事」のため、JTと忙しい午後を過ごしていた。フランス語のしゃべり方を思い出しながらハムとチーズのバゲットを食べ、エスプレッソと同量のワインで時差ぼけを振り落とす。それから式のあとシャモニーで滞在する2週間のあいだに使うクライミング・ギアも、ゾーイから収集しなければならなかった。

プラザでの夕食のとき、友人のひとりが私のドレスについてコメントをしてはじめて、私はまだスプレンダー・ドレスを着ていることに気がついた。飛行機に乗るときに着替えたまま、これでウェディングに出席して、そのまま寝てしまい、朝食(まぁ、ランチに近かったけど)を食べ、シャモニーでいろいろな用事をこなし、そしてこうして今日の夕食でもまだこのドレスを着たままでいる。どう!ケリーにこんなこと書けるかしら? そう思ってほくそ笑む。できるはずないじゃない(と思いながら…)。

その夜、疲れ果ててシャワーも浴びずにベッドに横たわった私は、「このままスプレンダー・ドレスを着たままで寝てしまおう」と考えた。裸で寝るつもりは絶対にない。パタゴニアの友人のひとり、ウォーカー・ファーガソンが前の週にこのアパートに滞在していたし、この洗っていないシーツの上で彼が何をしたかなんて想像したくもない。

翌朝起きたばかりの私に、JTが命じたのはお風呂行きだった。バスタブをちょうど良い湯加減のお湯でいっぱいにした私は、スプレンダー・ドレスを着たままそのなかに入った(着用して以来、この時点で48時間以上経過)。そして、バスタブのなかできれいに洗濯までしたのだった。これだからパタゴニアのドレスは止められない。

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