未来に向けた投票を、今
近年、「〇〇年に一度」と呼ばれる猛暑や豪雨、台風といった極端な気象が、もはや「異常」ではなく日常になりつつあります。こういった気候変動の影響を、今後より深刻に受けるのが、これからの社会を生きる我々若者世代です。「明日を生きるための若者気候訴訟」は、14歳から29歳の若者17人が原告となり、日本のエネルギー起源CO₂排出の大きな割合を占める大手電力会社10社に対し、科学的知見に基づく排出削減を求めて提起した、日本で初めての気候訴訟です。
原告の一人である私は、大阪府在住の会社員で、休日にはサーフィンやスノーボード、そして旅を楽しんでいます。今まで、波や雪を求めてたくさんの土地を訪れ、自然と触れ合ってきました。大阪の都会の真ん中で生活をする自分にとって、海の上、雪の上で活動することは精神的なバランスをとるために必要な活動です。そういった意味で、アウトドア・アクティビティは私の生活に直結しています。自然と触れ合っているうちに、異常な気候による違和感をいくつか感じるようになりました。
線状降水帯の多発もその一つです。2024年もたくさんの線状降水帯が発生し、いくつもの水害をもたらしました。私が大好きな能登半島も、その被害を受けました。サーフィンのためによく訪れていたこの地が、地震に見舞われた後、復旧作業のために通うようになりました。そんな復旧の最中、今度は線状降水帯による水害が発生したのです。地震の復旧の中で知り合った多くの仲間や住人が水害の被害を受け、現場は悲惨以外の何でもありませんでした。
他には、激甚化している台風が挙げられます。近年は、大型の台風が上陸し被害を与えることが増えてきました。サーファーとして、うねりを届けてくれる台風は恩恵でもあります。しかし今では、その恩恵よりも「生活するうえで被害を受けるリスク」としての側面が強くなり、毎年どこかで大きな被害が出るのではないかと不安に思います。さらに気候変動の影響で、今後も台風はさらに激しくなると科学的に予測されており、自然災害が人為的に加速しています。
降雪についても変化を感じています。関西圏での積雪が年々遅くなり、スノーボードができる期間が短くなり、長野や新潟へ行く機会が増えています。しかし、そのエリアでも一様な降り方からゲリラ的な豪雪へと変化し、通行止めやスキー場内の雪崩リスク増などの影響が見られるようになってきています。
気候変動による問題は日々悪化していて、地球温暖化が進むと、アウトドア・アクティビティができる機会が減り続ける一方だと感じています。
私たちが声を上げなければならない背景には、政治の場で気候危機が正面から十分に扱われていない現実があります。本来、これらのことは、国会で議論され、政策として大規模排出事業者に対してCO2の排出削減を義務付け、省エネ・再エネシフトを促すべきです。しかし、現在の政権は、エネルギー安全保障や電力価格の安定を強調する一方で、「気候危機」や「1.5度目標」といった言葉を前面には打ち出していません。再生可能エネルギーへの支援も見直され、今まさに排出削減よりも、不確実な将来技術への期待や既存のエネルギー構造の維持が優先されているように見えます。
気候変動は、遠い未来の話でも、一部の専門家だけの議論でもありません。私たちの健康、教育、仕事、そしてアウトドアスポーツと、日常や私たちの人生そのものに影響する、極めて身近な問題です。だからこそ、社会の方向性を決める選挙で、気候変動を「争点にしないまま」にしてよいはずがありません。
投票は、政治や社会を変えるための最も基本的なアクションです。そして訴訟は、声が届きにくいときに、権利を守るためのもう一つの手段です。若者気候訴訟は、対立のためではなく、「安定した気候のもとで生きる権利」を次の世代につなぐための行動です。
未来を生きる私たち自身が、情報を知り、考え、選び、行動する。その一歩として、今回の選挙での投票、そしてこの訴訟への関心と応援が、確かな力になると信じています。
問題は、気候危機の深刻さにどれだけ多くの人が同調するかではなく、その危機感を抱く人が実際にどう行動するかという点にあります。
さあ「明日を生きるため」に、選挙に行きましょう。