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チリの海岸をきれいにする

アンドリュー・オライリー  /  2022年6月2日  /  アクティビズム, コミュニティ, フットプリント

南太平洋にはプラスチック問題がある。そして彼にはトラックがあった。

全ての写真:Jürgen Westermeyer

編集注記:2022年、パタゴニアはブレオの人々を紹介する連載を開始した。ブレオはパタゴニアのパートナーであり、南米沿岸で地元漁師が廃棄した漁網を回収・加工し、それらはパタゴニアのジャケットやシェル、帽子のつば、バギーズ・ショーツの生地に使用されるネットプラス素材として再利用される。今回の記事では、ブレオでチリのカントリー・マネージャーを務めるクリストファー“カコ”クレモが語ってくれた。

クリストファー“カコ”クレモがアンドリュー・オライリーに語った言葉。

ブレオに関わることになったきっかけの1つは、古いトラックだった。それは1982年製のいすゞのボックス型のトラックで、父の農場から譲り受けたものだ。いつも汚く、とても臭かった。なぜなら、古い漁網を載せて、あちこちに運搬していたからだ。乗り心地も実に悪く、フロント・サスペンションの上に座ると、道路の凸凹で体が突き上げられ揺すられる。それでも、そのトラックは頼りになったし働いてくれた。古い漁網と同じように、あれも多くの目的に応えた。

ブレオで働き始める前から、そのトラックを様々な仕事で使っていた。薪を運んで販売したり、自分が経営するジュースとスムージーのバーへ果物を運んだりもした。けれど、ベンやブレオの人々と出会って、トラックが古い網を運ぶのにとても役立つことを知った。とはいえ、私にとってブレオでの仕事は当初、友人を助けるための単なる副業にすぎなかった。その漁師たちとは知り合いだったし、私の手元にはトラックがあったからだ。工場では常時15~20人が働き、古い漁網を衣類やスケートボードなどの素材に加工している。8年前の私に、それらの工場や倉庫の管理をすることになると言っても信じなかったろう。正直、それが自分の仕事になるとは思っていなかった。

ブレオで働き続けられる理由は、2つある。1つは私たちがずっと成長し続けていること。最初はとても小規模で、漁網があちこちに積まれている程度だったが、今では年間約800トンの漁網を加工するようになり、コンセプシオンの漁業界にとって、経済的にも環境的にも、不可欠な存在になった。現在、ブレオの仕事で生計を立てている家族は数十世帯にのぼる。もう1つの理由は、みんなの家族、みんなの社会、みんなの世界を助ける仕事をしているという誇りだ。

この仕事を通じて、チリ沿岸の海水が実際に変化するのを目の当たりにしてきた。ブレオがなかったころは、そこかしこに漁網が積み上げられ、あらゆる種類のゴミが岸に打ち上げられていた。網には腐った魚やプラスチックボトル、古い衣類など様々な物が絡みついていた。それに無人潜水機の映像で、海底からわずか2メートルの海中にマヨネーズの瓶がいくつも漂っているのを見た記憶がある。チリのものかは分からないが、この国の人は、みなマヨネーズが大好きなのだ。いまでは、ここの漁師は廃棄する漁網を私たちのところに持ってくるようになった。漁師たちは、私たちが取り組む仕事が海をきれいにすることに役立つことを知っているし、海がもっときれいになれば暮らしがよくなり、家族にとってもいいことだと理解している。それが分かるようになってからは、彼らとはとてもうまくいっているよ。

水域の保護に関して、ブレオがやっていることは、チリが完成させようとする広大なパズルの一片のピースにすぎない。ちょうど昨年、チリの議会では、レストランやデリバリサービスで、リサイクルすることが難しい物品の提供を禁止する法案が可決された。これで年間数トンに及ぶプラスチック製の皿やカップ、ストロー、カトラリー、テイクアウト容器、フタ、マドラーが、不必要に捨てられなくなる。そうしたゴミの多くが、この国の川へ流れ込み、やがて海へ運ばれるのだから、それは大きな前進だ。

チリの漁業界が先頭に立って、環境への影響を減らそうとしていることも心強い。確かに乱獲や違法操業といった問題はまだあるが、それでも進歩している。10年前にチリでは底引き網漁が禁止され、この国は現在、27万平方マイル以上の海洋保護区を設けている。

父の果樹園で働きながら育った私は、自然が我々に何を授けてくれるのか、それらがいかに壊れやすく、大切にする必要があるかを、心から理解するようになった。それは少年時代に父から受け継いだものであり、その影響で、私は森の中にできるかぎり持続性のある方法で家を建てた。だから、次世代にもそれを伝えていきたい。私たちの仕事をとても重要だと考える理由はそこにある。海洋生物やチリの水域の保護に役立つだけでなく、この国で我々が享受しているすばらしい資源を育み、守る必要性について、全てのチリ国民に一例を示すことになる。

古いトラックはついに引退することになり、私は新しいピックアップトラックを手に入れた。しかし、あのいすゞのトラックのことを、決して忘れることはない。あのトラックがあったからこそ、今の自分があるのだから。私のトラックと同様に、この国も前進し、自分たちが成し遂げてきたことをとても誇りに思っている。ブレオでの取り組みや、チリのその他の団体の活動は、この地球を守る手段として、人々にとって真の模範となるはずだ。

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