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パタゴニア社員へのインタビュー:ダイレクトセールス部門勤務、小林恵美に聞く

 /  2011年7月14日 読み終えるまで7分  /  コミュニティ
パタゴニア社員へのインタビュー:ダイレクトセールス部門勤務、小林恵美に聞く

横尾から涸沢へ向かう道中。緑の中に屏風岩を見上げる小林恵美。写真:高城 克昭

編集前記:今回はダイレクトセールス(通信販売)部門でコールセンター・リーダーとして働く小林恵美へのインタビューです。電話やメールによる声や言葉、文章のみという顔の見えないなかでのカスタマーサービスを通じ、日々マニュアルのない現場でリーダーを務める。そのむずかしさを楽しみながら仕事とプライベートを両立させているライフスタイルが、今回彼女をインタビューの対象に選んだ理由です。現在同じくパタゴニア日本支社で働く夫とともに神奈川県横浜市在住。2003年3月よりダイレクトセールス部門に勤務しています。

前職はデパートで接客の仕事をしていたということですが、アウトドアメーカーのパタゴニアで働こうと思ったきっかけは?
接客という仕事は好きでしたが、デザインや流行重視で入れ替わりの早い商品を販売し、消費されていくことに疑問を感じるようになっていました。ちょうどそのころ登山をはじめてアウトドアウェアに興味をもち、以前から知っていたパタゴニアに自然と魅かれるようになりました。製品の品質が高く、長く愛せる定番製品やシンプルなデザイン、さらに環境に配慮して作られているという点が新鮮で、とても素晴らしいと思いました。自分が本当に良いと思える製品を、それを必要としてくださるお客様に提案し、サポートすることができたらどんなに楽しいだろうと思い、パタゴニアに応募することを決めました。ストアでの勤務も考えましたが、あらゆるお客様の窓口となるカスタマーサービスで一人前になれれば、どこの部署へ行っても役に立つのではないかと思い、コールセンターを選びました。

パタゴニアのコールセンタースタッフならではの特長はありますか?
パタゴニアのコールセンターは通信販売部門としてご注文を承るのと同時に、日本支社のカスタマーサービスとしてさまざまなお問い合わせに対応しています。製品はもちろん、メンテナンス方法からパタゴニアの取り組みについてまで、あらゆるご質問をいただきます。最低限必要な製品知識やオペレーションについてはトレーニングがありますが、それ以外、つまり接客についてのマニュアルは一切ありません。自分の知識や経験、そして個性や価値観をフル活用して、いかにお客様にパタゴニアのファンになっていただくか。それが私たちにとっていちばんの腕の見せどころです。一般的にカスタマーサービスというとクレーム処理というイメージがありますが、まったく違います。私たちには品質やデザインはもちろん、製造過程の環境負荷や人権にも配慮して作られた、自信をもっておすすめできる製品があり、お客様をサポートする充実した修理サービスや製品保証制度があります。またフィールドや製品に関するお話を通じて、ひとりの人間としてお客様とつながることができます。それは、パタゴニアのコールセンターならではの魅力ではないでしょうか。

パタゴニア社員へのインタビュー:ダイレクトセールス部門勤務、小林恵美に聞く

コールセンターではリーダーとして主にスタッフを取りまとめる職務にあたっている。写真:パタゴニア日本支社

電話やメールでの「接客」とはどういうものだと考えますか?
直営店の場合、お客様と製品を手に取りながら会話ができますし、ストアの雰囲気やスタッフの表情、着ているウェアなど、お客様はあらゆるポイントからパタゴニアを感じてくださっていると思います。でも電話やメールの場合、私たちの「声」や「言葉」、そして「文章」などだけで、そのすべてを表現しなければいけません。そこに究極のむずかしさとやりがいがあると思います。

現在のコールセンター・リーダー職務にいたるまで、長い間コールセンターで働いていますが、仕事をするうえで大切にしていることは何ですか?
いまより一歩前進するために自分ができることは何かを考え、ベストを尽くすことでしょうか。入社当初からずっと思っていたことですが、アクティビティに精通し、自分のスタイルが確立された個性的なスタッフが多いなか、私はどちらかというとそういうタイプではありませんでした。でも私だからできることもあるはずだと思い直し、コールセンターで試行錯誤しながら働いてきた結果、いまにつながっています。パタゴニアは結果だけでなく、そこに至る過程をとても大切にする文化があります。だからこそスタッフの熱意や葛藤、個性を尊重し、社歴やポジションに関わらず、だれもが発言し、行動するチャンスを与えられていると思います。

夫婦でパタゴニア勤務ですが、そのことは家庭にどのような影響をもたらしていますか?
「社員をサーフィンに行かせよう」というパタゴニアの創業者、イヴォン・シュイナードの言葉があります。波がよければ仕事中でもサーフィンに行けるけれど、それには責任も伴う。我が家も同じです。それぞれがフィールドに行く時間や友人と過ごす時間を尊重することでよりお互いの存在に感謝できますし、家事も猫の世話も分担してサポートし合っています。

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同僚であり夫である高城克昭と。奥穂高岳山頂にて。写真:高城 克昭下

日本支社独自の環境キャンペーン「フリー・トゥ・フロー – 川と流域を守る」の実施中、治山ダムが撤去された「赤谷の森」を訪れたということですが?
川と流域の問題について掘り下げてみようと考えたとき、登山口の川でよく見かける治山ダムが思い浮かびました。小さな規模のダムですが、調べていくと土砂災害防止などさまざまな理由をもとに、必要でない山の奥にまで人知れずたくさん建設されている。そのダムを公共事業によって意図的に壊すという国内初の治山ダム撤去作業が行われたことを知り、見学ツアーに参加しました。ダム撤去に導いたのは〈AKAYAプロジェクト〉です。群馬県みなかみ町の国有林「赤谷の森」を対象に、地域住民、日本自然保護協会、林野庁が協議して、生物多様性の復元と地域づくりにむけて取り組んでいます。昨年、〈日本自然保護協会(NACS-J)〉が主催、パタゴニアが協賛した「いきものバンザイツアー」でも見学ツアーがあり、そのときにはスタッフとして参加しました。ダムは撤去すればいいという単純なものではなく、撤去後の災害対策や流域環境の変化、また住民への配慮や撤去費用など課題はたくさんあります。しかも川に本来生息していた魚や生物が戻り、流域の生態系が復元するにはとても長い時間がかかりますし、それを裏付ける調査/分析にも時間が必要です。赤谷がひとつのモデルケースとなって、ダム撤去と流域環境復元への取り組みが広がっていくことを願っています。

昨年よりパタゴニア日本支社がブログ(クリーネストライン)やツイッターといったソーシャルメディアに携わりはじめたいま、同じダイレクトセールス部門のスタッフとして、何らかの変化に気づくことはありますか?
ブログやツイッターをはじめたことで、パタゴニアの取り組みや独自のカルチャーがより多くの方にわかりやすく伝えられるようになり、製品だけでなく、パタゴニアというブランド自体が注目されていると感じます。また、お客様の反応もダイレクトに寄せられるので、とても参考になります。

コールセンター・リーダーとして、今後目指していきたいことは?
私自身も、またチームの状況も毎年変化していきますが、その変化を進化と感じられるような1年を積み重ねていきたいです。コールセンターの仕事は山を縦走しているときの感覚に似ていると思います。やっとピークにたどり着いたと思ったら、その先にもっと高いピークが見えて、新しい頂を目指してまた歩きはじめる。でも一歩一歩登りつめていけば、誰でもかならず頂上にたどり着くことができるし、自分の脚で登ったからこそ見える景色があります。これから5年後、10年後に、どんな景色を見ることができるのか、とても楽しみです。

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晩夏の涸沢を後に初秋の北穂高岳へ駆け上がる小林。写真:高城 克昭

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